プロジェクトノート

  • ゴルフスポーツ事業

新クラブ「花梨クラブⅤ」開発秘話

7bde0bbd7cea99a14cb0c4fda714f663332c8908.jpg

2019年 春。花梨シリーズの血を受け継いだ、5代目となる「花梨クラブⅤ」が登場します!
力強さと美しさを兼ね備えたハタチの最高傑作。

そんなにハードルを上げて大丈夫? と心配するかもしれませんが心配ご無用。

素材に設計、すべてにこだわって作り上げたクラブ。満を持して出陣となります。

ただ、ここに至るまで とにかくもう様々な苦労がありました。
今回は、そんな花梨クラブⅤの開発エピソードを語らせてください。

ハタチの伝統とも言える「花梨クラブ」

6e40a7d9f16bb399da6da78c649513524972749c.jpg

ハタチが初めての花梨クラブを作り上げたのが2004年。それまでメープルという木が主流だったグラウンド・ゴルフ市場において、新しい風を起こしました。
以来約15年間。今回の5代目にまで継承されている花梨シリーズは、まさにハタチの伝統を象徴するクラブとも言えるでしょう。

花梨の木を使うメリットとは?

5f2ecd45aec4efec38b66362fe4af4cc53fd83d4.jpg

なぜハタチはそこまで花梨という木にこだわるのでしょうか?

それはグラウンド・ゴルフのクラブに最適な木だと確信しているためです。この花梨という木は、一般的なグラウンド・ゴルフクラブに使用されているメープルという木に比べて、比重が130%高いんです。

比重が高いということは、同じ形状のヘッドをつくった場合、より重いヘッドが出来上がります。加えて硬い木であるという特徴も併せ持っているため、鋭いスイングを実現し、変形しづらく長く愛用できるヘッドを作ることができるのです。

希少価値が高い

しかし、この花梨という木はとても希少価値が高い点がネック。硬く、比重が高いというだけでなく、美しい木目も評価されているのです。その木目の美しさから、高級家具にもよく使用されているほど。

主に東南アジアを産地とする木で、近年は希少価値の高まりにより、入手が難しく、更に価格も高騰しています。

今回のクラブ開発の中でも、この花梨の木をどのような流通ルートで調達するか、検討段階から頭を悩ませるタネとなりました。

企画・開発のプレッシャーが凄い

そんな貴重な木を使った花梨クラブ。昨年初旬に、新モデルを開発しようとの話が社内で上がりました。
ハタチの中でも人気ナンバーワンを誇る花梨クラブ。その新モデルを作るので、開発スタッフは少なからずプレッシャーを感じていました。

今までの花梨の名に恥じぬよう、商品性能やデザインの美しさ、質感まで すべてにこだわりを注ぎ込みます。
おかげで昨年は頭の中から花梨の木目が離れなくなる幸せな一年を過ごすことができました。

原点回帰のコンセプト

fdc7f45f7500d5460945725a34c7b239a55a4280.jpg

プレッシャーと戦いつつ、悩みぬいてたどり着いた開発コンセプトは原点回帰。
花梨クラブの代名詞でもある力強くボールを転がすことができるクラブを目指しました。

花梨やパーシモンといった銘木と呼ばれる木は、その高い比重から重量感のあるヘッドで力強い打球に魅力を感じていただいてるユーザーの方が多くいらっしゃいます。
歴代を超える力強さを、新しい革新の技術で実現する。ハタチが今まで積み重ねてきたクラブ開発のノウハウをフル活用して実現を目指します。

その解決の糸口は、ハタチの強みである樹脂テクノロジーにありました。

「高反発=樹脂フェイス」という答え

88a0aeb689329851df07f282ab752ccf238407a5.jpg

力強い打撃を実現するために、最大のキーとなるのはフェイス。
通常のグラウンド・ゴルフクラブでは、カーボンやベークライトといった硬質フェイスを搭載することが多いですが、ハタチは樹脂フェイスこそが最高の反発性能を実現できると考えました。

樹脂は素材の組み合わせや成型の仕方によって、様々な性能を実現する無限の可能性を秘めています。

樹脂選定には妥協無し!

花梨クラブに搭載するフェイスに使う樹脂選定にも、じっくりと時間をかけました。
数パターンのサンプルを用意し、何度も打撃試験を実施。試行錯誤の末に、最もボールの反発性能が良い樹脂構成を見つけ出すことができたのです。

飛距離を求める場合、硬い打球面がいいのでは?と考えてしまいがちですが、単に硬い打球面を選べば良いという訳では無いという発見は目から鱗。
何事も思い込みや先入観を捨てて、様々な可能性を検証してみることの大切さが身に染みましたね。

硬さの異なる2層の樹脂を重ね、構造面でも反発力にアプローチ。パワードリッジフェイスと呼んでいる内部のギザギザ構造を設け、今までのフェイスの中でも最高の反発性能を実現することができました。

しかもこのパワードリッジフェイスは、TPU独自のソフトな打感で手へ伝わる衝撃を軽減するため、体に負担をかけすぎずに、より一層強い打撃が可能であるという点も大きなポイント。

低重心だけでなく耐久性にも配慮

8ccbbd76f08f77dee7ada2a7c78f077dfa8a70f2.jpg

一般的なグラウンド・ゴルフクラブに使用されているソールはアルミ製。ですがこの花梨、アルミよりも3倍重いステンレス製のソールを搭載しています。
しかも、耐衝撃性に優れた特殊合成樹脂をサンドして組み合わせることで、ボールの打撃やソールのダフリの衝撃からヘッド全体を守る構造となっています。

力強い打撃のために低重心を意識するとともに、花梨という木を長く愛用してもらえるよう、耐久性が高まるように設計しました。

花梨の木目にステンレスのシルバー、樹脂のブラックという素材コンビネーションも、デザイン的に最高にカッコいい!と自負しています。

工場から嫌われる溝のデザイン

38d69b7ca21fd2d77e95ceda9356ab15ec3c6820.jpg

今回の花梨クラブはヘッドデザインにアクセントとして黒い溝のデザインを入れています。鎧兜をモチーフとし、堅牢で力強いイメージを目指した外観デザイン。この溝はデザイン上で象徴的なモチーフとなっています。

ただ、こういった溝はとてつもなく加工がしにくいんですよね…。
工場からは「この溝は作りにくいのでやめてください」と何度言われたことか。
ただ、どうしてもここのデザインは譲れないポイント。無理をして作っても品質低下の原因となるため、効率よく実現する方法を工場と一緒に考えながら、トライ&エラーの末に何とか実現に漕ぎ着けました。

こだわりの最高傑作

そんなこんなで、紆余曲折の開発を経て、2019年 花梨Ⅴ 堂々デビューです。
開発からすると、量産に至るまでの壁が多いアイテムほど、不思議と愛着を持ってしまうものです。

我が子の旅立ちを見送るような気持ちで、これからの花梨Ⅴの活躍を見守っていきたいと思います。